導入事例:志賀郷北部農産株式会社 様(京都府綾部市)
京都府綾部市志賀郷地区。コウノトリが子育てをする自然豊かな里山に、過疎化や高齢化で作れなくなった農地を引き受け、守り続けている会社があります。
志賀郷北部農産株式会社。2015年、地域の3集落が力を合わせて設立した農業法人です。
今回は、常務取締役の坂本成樹さんに、水田用水位センサー「水田ファーモ」を活用した水管理と、地域農業のこれからについてお話を伺いました。

「作れなくなった農地」を引き受けて
同社が管理する農地は、米・小豆・麦・飼料用米など、あわせて約43ヘクタール。ただ、その中身は少し特別です。
「作っているのは、ほとんどが過疎化や高齢化により自分で作れなくなった農地ばかりなんです。日当たりが悪かったり、水が来にくかったり、獣が出たり……そういうところも耕作しています」
条件の悪い農地も引き受ける。収益性だけを考えれば、割に合わない選択かもしれません。それでも続ける理由を、坂本さんはこう話します。
「いちばんの目的は農地の保全です。地元の方から大切な農地をお借りしているんやから、お返しが必要だと思います。そしてそれは、やっぱりお米で返すことなんです」
収穫したお米の半分程度は、地元の方々へ手頃な価格で提供。田んぼを預かり、お米にして地域へ返す。その循環が、里山の風景と暮らしを支えています。
「水が溜まっている」という安心を、手元に
そんな同社が水田ファーモを最初に導入したのは2024年のこと。まず1台から始め、2025年に4台を追加して、現在は5台の水位センサーが圃場を見守っています。
導入の目的は、はっきりしていました。
「本当に丁寧にやろうと思ったら、水はほぼ毎日見に行く必要があります。でも、管理している面積が大きいですから、どうしても目が行き届かないところが出てくるんです」
作業にあたるのは、実働で7名ほど。限られた人数で広い面積を回すには、見に行かなくてもいい田んぼを増やすことが欠かせません。
「細かい水位の情報までは求めていなくて、”水が溜まってる”という安心感が欲しかったんです。水位センサーを見て水があったら、”これは行かんでええわ”と。そういう田んぼを増やしていけたらと思って入れました」
そして、水管理は収量に直結します。
「こまめに水管理をしている田んぼは、去年でいうと収量が平均で2割ほど違うんです。会社の田んぼの隣で、ご自身で丁寧に作ってはる方に聞いても、収量は2〜3割多い。その違いは、ほぼ管理やと思います」
見回りの負担を減らしながら、収量も確保する。「行く回数を減らして、プラス、収量を増やす。それが一番良い使い方じゃないでしょうか」
そして、実際に使ってみて感じたことも話してくれました。
「これを入れて思うのは、うちのような規模だけではなくて、小規模で丁寧に作られる農家さんにも向いているんやないか、ということです。水が増えた、減った、あるかないか、というのが手元でわかるのが、ちょっと楽しみになるじゃないですか。目の届く範囲で、こまめに水を見たい方にも合うと思いますね」

省力化の切り札「直播」にも、farmoを
同社は2023年から、省力化の取り組みの一つとして水稲の「直播(ちょくはん)栽培」に取り組んでいます。種もみを直接田に撒いて栽培する「直播」は、育苗や田植えの手間を大きく減らせる一方で、鍵を握るのがやはり水の管理です。
「苗の移植で行われる田植えなら、多少水がなくても育ちます。ですが直播は、発芽までにちょっと干上がってしまうと、発芽率が低かったり、雑草が繁茂したりしますので、直播の水管理は難しいと思います」
「直播こそ、farmoをうまく活用できると思っています。実際、今farmoを設置しているのは、直播の圃場が中心です。」
今年の直播圃場は14枚。ドローンによる播種に取り組みながら、「水位センサーも増やしていきたい」と、さらなる省力化を見据えます。


地域の人とともに
省力化を進める一方で、同社の農業を支えているのは「人」です。中心となるのは、地域のベテランの方々。
「昔から農業をやってはる方ばかりやから、たくさん関わってもらうことが、一番の力やと思います」
そして今年、うれしい出来事がありました。海外で農業を経験した20代の若者が仲間に加わったのです。この地に移り住んだもう一人の若者とともに汗を流しています。
「若い子らが長く続けられるように、しっかり働いたらそれに応えられる仕組みにしています。若い子らはやっぱり力がありますしね」
地域のベテランと、移り住んできた若者。世代を越えたチームが、志賀郷の田んぼを守っています。
管理農地は、これからも増えていく。その時のために
数年前の豪雨災害のあと、「うちの田んぼも頼めないか」という管理の依頼は、減るどころか増えたといいます。
「これからも増えていくと思います。その時になって”もう受け入れられません”と言ってしまうと、耕作放棄地になるしかない。ですので、水田ファーモも含めて、農業を合理化する方法を今から考えてく必要があると思います」
farmoへの期待も伺いました。
「水管理をお願いしているおじいちゃんなんかは、カメラがあったら喜ばれるかもしれませんね。データも大事やけど、やっぱり現場を目で見たい。それから水温。水温が高いままやと雑草が生えやすくなったり、稲が酸欠になったりしますから、水温がわかってアラートが出たりするとええですね」
ちなみに坂本さん、入社の経緯を尋ねると笑ってこう話してくれました。
「最初は”経理だけやってください”と言われて入ったんです。それがだんだん引きずり込まれてしまいました。(笑)」
そんな温かい人柄と、地域への想いに支えられた農地保全の活動。そのかたわらに、farmoはこれからも寄り添っていきます。
(取材日:2026年7月24日)
志賀郷北部農産株式会社ホームページ
https://sigasatohokubunosan.einaka.jp/
お使いの製品:水田ファーモ(水位センサー)
田んぼの水管理は、圃場の場所や水の入り方、作業体制によって最適な方法が異なります。
集落営農や農業法人では、管理する田んぼが広い範囲に点在し、限られた人数での水管理が大きな負担になりがちです。また、直播栽培では初期の水管理が生育と雑草対策の分かれ目になります。
弊社、ミヤデン株式会社では、farmoの導入前のご相談から、圃場に合わせた設置場所の検討、使い方のご説明までサポートしています。
- 点在する田んぼの見回り負担を減らしたい集落営農・農業法人の方。
- 直播栽培に取り組んでいる方、これから挑戦したい方。
- 少ない人数で、収量につながる水管理を実現したい方。
まずはお気軽にご相談ください。 現場に合ったfarmoの使い方を、一緒に考えます。
